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日本文学各論 / Japanese Literature (Special Lecture)

前期 月曜日 2講時. 単位数: 2. 担当教員/Instructor: 横溝 博. セメスター: 5. 履修年度: 2024. 科目ナンバリング: LHM-LIT301J. 使用言語: 日本語.

主要授業科目/Essential Subjects

日本文学各論

授業題目

『源氏物語』の成立と展開

Course Title (授業題目)

Establishment and Development of "The Tale of Genji"

授業の目的と概要

『源氏物語』現五十四帖がいかにして構成されているか、成立の問題、巻序の問題をはじめ、散逸した巻巻(「桜人」「狭筵」「巣守」さらには「輝く日の宮」)についての『源氏釈』『奥入』等の記述を検証する。「輝く日の宮」の巻は存在したのか。また、定家本・河内本成立の過程と意義、別本の価値をも含めた諸本(写本群)についても考察する。『源氏物語』の初期の注釈書や梗概書、系図等にも目配りし、『山路の露』『雲隠六帖』といった補作、さらには平安〜鎌倉・室町時代の物語作品における『源氏物語』受容の痕跡をも手がかりとして、平安から中世にかけて、どのような『源氏物語』テクストが流通していたのかを探る。その際、古筆切等、新発見の資料にも目配りしたい。文字テクスト以外に、院政期の『源氏物語絵巻』を、詞書とともにDVDで鑑賞する。復元プロジェクトによって、平安絵師の仕掛けた謎が現代に明らかとなるのか──。
このような検証、思考を通して、広く「〈源氏物語〉とは何か」、を考えていくことを目的とする。

Course Objectives and Course Synopsis(授業の目的と概要)

We will examine how the "Genji Monogatari" is composed, the problem of establishment, the problem of the volume, and the description of the old commentary on the dissipated volume.
Furthermore, we will explore what kind of "Genji Monogatari" texts were in circulation from the Heian period to the Middle Ages, using supplementary works such as "Yamaji no Tsuyu" (sequel of The Tale of Genji) and Kumogakure Rokujo (Genji's demise: six chapters). In addition, we will watch "Genji Monogatari Emaki" on DVD.
Through such verification and thinking, we will think about "what is the Genji story".

学習の到達目標

『源氏物語』の成立と展開、流布と継承、受容および享受の問題を広く学ぶことで、(1)『源氏物語』をめぐる文化の諸現象に対する理解を深め、(2)『源氏物語』を独力で鑑賞し、(3)テクストを批判的に読み解くための基本的な知識を身につける。

Learning Goals(学習の到達目標)

By broadly studying the issues of establishment and development, dissemination and inheritance, acceptance and enjoyment of "Genji Monogatari", (1) deepening the understanding of various cultural phenomena surrounding "Genji Monogatari", (2) appreciating the works, and (3) acquire the basic knowledge to read the text critically.

授業内容・方法と進度予定

01. ガイダンス。講義資料の事前配付。参考文献の紹介。
02. 『源氏物語』の諸本の異同について。「桐壺」巻を例に考える。
03. 「幻」巻の異文。ミセケチをめぐる『原中最秘抄』の諸説。
04. 「柏木」巻の表現と国宝『源氏物語絵巻』の詞書。柏木像の後代への影響。
05. 「桜人」について。『源氏釈』の逸文から復原する。
06. 「かかやく日の宮」と並びの巻について。『奥入』の記述から考える。
07. 藤原定家の『源氏物語』蒐書活動と書写活動。『奥入』と『明月記』紙背から考える。
08. 「巣守」について(1)。『源氏物語古系図』から復原する。
09. 「巣守」について(2)。「古筆断簡」『風葉和歌集』から復原する。
10. 『源氏物語』の構成について。『源氏物語』は五十四帖か。六十巻説、三十七帖説を考える。
11. 『山路の露』について。補作の試みもしくは『雲隠六帖』。
12. 『山路の露』を読む(1)。「序文」を読む。
13. 『山路の露』を読む(2)。薫と浮舟の再会場面を読む。
14. 『山路の露』を読む(3)。浮舟と手習歌。
15. 『山路の露』を読む(4)。物語としての独自性。

成績評価方法

レポート(期末)の内容〔50%〕、毎時間提出するミニットペーパーの内容〔50%〕。

教科書および参考書

【教科書】『源氏物語補作 山路の露・雲隠六帖 他二篇』(今西祐一郎編注、岩波文庫、2022年)
その他はすべてプリントを用いる。テキスト(岩波文庫)は大学生協で購入のこと。毎時間用意すること。参考文献は授業内で随時紹介する。Classroomを併用する予定。

授業時間外学習

復習に力を入れること。『山路の露』については、授業で読む箇所以外についても、自分で読み進め、内容把握に努めること。

その他

二年生でも関心のある人は単位にかかわらず受講されたい。

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