後期 木曜日 4講時. 単位数: 2. 担当教員: 平田 武. 科目区分: 学部演習. 授業形態: 演習. 対象学年: -. 履修年度: 2024.
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2回隔週
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対面
クラスコード:
質問等は授業内に受け付ける。
クラスルームにおいて、追って連絡する。初回開講日は説明会で、参加を希望する人は出席すること。
社会科学的歴史学は1960~70年代以降に歴史学における大きな潮流となったが、いわゆる「文化論的転回」を経て文化史の挑戦を受け、社会史自体は危機を迎えていると言われて久しい。しかしながら、歴史研究に社会科学の諸理論・分析手法を適用し、歴史的事例から理論へフィードバックを行うことで理論の革新を行うという作業の持っているポテンシャルが汲み尽くされたとは言い難いだろう。本演習では、社会科学的諸理論の適用を通して、ハプスブルク君主国の一部をなした多宗派多民族社会であるハンガリーにおける19世紀の社会的変容過程を多面的に描いた著作を題材にして、社会科学的歴史学の可能性について討論を重ねたい。扱う領域は幅広く、歴史人口学と家族史、歴史地理学と移民研究、産業セクターと社会階層分析、社会階級分析、貴族から紳士へ、政治参加と官僚制化、住居と服装、宗派とネイション、アカルチャレイションとアシミレイション、ユダヤ人問題とジェントリ、学校教育と社会移動研究に及ぶ。
政治学もまた、歴史学との対話によって社会科学的歴史学の一分野として歴史政治学(比較歴史分析)を生み出しながらも、この間に政治学の分析手法が非歴史性を強めたこともあって、概して歴史研究との交流が盛んになったとは残念ながら言い難い。19世紀ハンガリーという一事例を通してではあるが、本演習を社会科学的歴史学の持つ魅力を再認識する機会にできればと考えている。
This seminar deals with basic theories and concepts of historical social science and their application to the 19th century Hungarian society based on the text cited below.
演習は、教材の担当部分毎に担当者がレジュメ(B4二枚~三枚程度)を作成して報告し、それに基づいて討議を行う形式で進める。演習参加者には、毎回の出席と議論への参加が要請されることは言うまでもなく、少なくとも一回は報告を担当してもらうことになる。
説明会
参考文献と書評
Ⅰ 解釈枠組み
1.社会科学上のパラダイム
2.社会史叙述と時期区分
Ⅱ 人口──時間と空間の中で──
1.性別と世代
2.定住地の構成と都市の階梯
Ⅲ 構造と軸
1.職活動構成
2.財産・所得配分
3.地位とプレスティジ
Ⅳ 参加と支配
Ⅴ 文化の成層構造
1.文化と生活様式
2.文化とエスニシティ
Ⅵ 中間階級の心性をめぐる諸問題
Ⅶ 定位と移動
総括
社会科学的歴史学の諸理論に関する概観的な知識を得た上で、その適用例に親しむこと。
参加者の報告と、質疑・討論への参加に基づいて行う。
ケヴェール・ジェルジ『身分社会と市民社会──19世紀ハンガリー社会史──』(刀水書房、2013年)
教材は各自で購入すること。
参考文献は、演習の中で適宜指示する。
毎回の演習の前に参加者は、テキストの該当箇所を一読しておくこと。報告者は、担当箇所を読んだ上で、レジュメを作成する。レジュメの作成には(テキストの分量に応じて)、1~2週間程度かかると考えた方がよい。時間に余裕がある場合には、参考文献にも当たることが望ましい。
参加希望者は開講日の説明会に出席すること。他学部学生の履修も認める。