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中国政治論

前期 火曜日 3講時. 単位数: 4. 科目区分: 展開講義. 授業形態: 講義. 対象学年: -. 履修年度: 2024.

実務・実践的授業※○は、実務・実践的授業であることを示す。

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週間授業回数

2回毎週

配当学年

3,4年

実施方法(対面・リアルタイム・オンデマンド・ハイブリッド等)

対面

連絡方法とクラスコード

クラスコード:

授業の目的と概要

 中国は、日本にとって重要な経済パートナーであると同時に安全保障上の懸念材料でもある。また、中国は、国際的な影響力を強めている一方で、国内の不安定化という問題を抱えている。
 なぜ、このような矛盾が生じるのか?
 本講義は、日本の将来を考えるうえで無視することのできない存在である中国に焦点をあて、政治学の分析枠組みを用いて、その基本的特徴について考察することを主たる目的としている。言い換えれば、中国はどんな国かということについて政治学の視点から把握しようとする試みである。
 講義では、国民国家やナショナリズムという分析枠組みに関する基本的な説明を踏まえ、中国の国家形態が皇帝専制国家から国民国家へと変容する過程および中華人民共和国における共産党の統治の在り方について論じる。19世紀末以降の日中関係について考察することも本講義の重要な目的の一つとなる。

This lecture focuses on the process of nation-state building in modern China. It will examine the transformation of the character of modern Chinese nationalism and analyze the political structure of the Chinese communist regime.

授業内容・方法と進度予定

第1部 国民国家(nation-state)とナショナリズムに関するイントロダクション
1.nationとは何か?:「想像の共同体」に象徴される国家・社会観
2.国家形態変遷の歴史:都市国家から主権国家まで
3.国民国家形成のモデル1:アメリカ・フランス型 ー民主主義とナショナリズムー
4.国民国家形成のモデル2:ドイツ・日本型 ー文化とナショナリズムー
第2部 中国における皇帝専制国家の瓦解
5.皇帝専制国家の諸様相1:帝国の版図と世界観 官僚制、統治の論理、「仲介のメカニズム」
6.皇帝専制国家の諸様相2:社会における自治と自衛、民衆反乱の諸側面
7.19世紀に出現したカオス:飢饉、内乱、対外戦争
8.改革と「革命」:「洋務」運動、「変法」運動、「革命」運動
第3部 内戦と抗戦
9.中華民国と軍閥割拠:傭兵隊長と匪賊が闊歩する世相
10.中華民国のナショナリズム:「中華民族」はどのようにして想像・創造されたか?
11.党軍を抱える革命政党の誕生:中国国民党と中国共産党
12.中国国民党による不完全な国内平定
13.第1次国共内戦:中国革命論の定説と戦場の現実
14.日中戦争の展開:局地紛争から全面戦争へ
15.「抗日民族統一戦線」の諸様相:抗戦期の内戦
16.第2次世界大戦の終結と中国をめぐる国際政治:トルーマン、スターリン、蔣介石の駆け引き
17.第2次国共内戦:未完の内戦と台湾問題 
第4部 中華人民共和国の内政と外交
18.共産党による権力の浸透、統治体制の確立、初期ナショナリズムの培養
19.冷戦と東アジアの国際関係:中ソ同盟、朝鮮戦争、第1次台湾海峡危機、日米同盟
20.社会主義路線の試みと挫折:毛沢東の個人独裁、「大躍進」、文化大革命 
21.中国外交の大転換:スターリン批判、第2次台湾海峡危機、中ソ対立、米中接近、日中国交正常化 
22.鄧小平の台頭と「改革・開放」政策の展開:「改革」派VS.「保守」派
23.天安門事件:「改革・開放」路線が内包する構造的矛盾
24.江沢民政権のガバナンス:経済改革、軍拡、ナショナリズムの差し替え
25.台湾問題の変容と米中対立の再燃:第3次台湾海峡危機、北朝鮮の核兵器開発、日米同盟の再定義
26.胡錦濤政権のガバナンス:国内外の調和を重視した改革の試みと挫折 
27.中国の軍拡の諸様相:中国人民解放軍の大々的増強はなぜ続くのか?
28.習近平政権の10年:硬直化する内政と外交
29.個人独裁に回帰する中国:「改革・開放」の破綻が意味すること
30.近代中国と日本:日本人は中国とどう向き合っていくべきなのか?

学習の到達目標

中国や日中関係を論理的・専門的に分析・理解するために大切な基本的な視座・知識の習得。

成績評価方法

基本的に期末試験の点数で決定する。評価の配分は、出席率20%、期末試験80%。
期末試験は、出席率80%以上の学生にのみ受験資格が与えられる。この条件を満たしていない学生の答案は無効となる。出欠は毎回確認する。
学生は、期末試験への加点を目的として任意の期末レポートを提出することができる。詳細は初回の授業で説明する。

教科書および参考書

教科書:阿南友亮『中国はなぜ軍拡を続けるのか』新潮選書、2017年。
参考図書:吉澤誠一郎『シリーズ中国近現代史1 清朝と近代世界』岩波書店、2010年。川島真『シリーズ中国近現代史2 近代国家への模索』岩波書店、2010年。石川禎浩『シリーズ中国近現代史3 革命とナショナリズム』岩波書店、2010年。久保亨『シリーズ中国近現代史4 社会主義への挑戦』岩波書店、2011年。高原明生・前田宏子『シリーズ中国近現代史5 開発主義の時代へ』岩波書店、2014年。川島真・小嶋華津子『よくわかる現代中国政治』ミネルヴァ書房、2020年。

授業時間外学習

教科書および参考文献の通読によって講義内容の理解度を深めることを薦める。

その他

毎回の授業のpdfファイルをGoogle Classroomにアップするので、履修者はそこから各自ダウンロードすること。

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