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展開ロシア語Ⅳ

後期 金曜日 4講時 川北キャンパスA203. 単位数/Credit(s): 2. 担当教員(所属)/Instructor (Position): 柳田 賢二 所属:東北アジア研究センター. 対象学部/Object: 全. 開講期/Term: 6セメスター. 科目群/Categories: 全学教育科目言語科目-ロシア語. 履修年度: 2024. 科目ナンバリング/Course Numbering: ZLF-RUS204J. 使用言語/Language Used in Course: 日本語.

主要授業科目/Essential Subjects

各学部の履修内規または学生便覧を参照。

授業題目/Class Subject

上級ロシア語Ⅱ
Advanced Course of Russian Grammar for Japanese-speaking Students II

授業の目的と概要/Object and Summary of Class

 動詞の仮定法、不完了体動詞の受動態、形容詞の比較級や絶対最上級など中級文法に属する項目を終え、さらに上級文法のうち標準的難易度のロシア語原文を読むために必要不可欠な項目を学ぶ。これらを終えたらすぐにドストエフスキー『白夜』の原文から難易度を落とさず冗長部分をカットしたテキストを読み始める。これまでと同様に徹底して語形変化に注意しつつ、文法的意味を丁寧に確認しながら正確にロシア語の文章を読む訓練をする。

 この科目におけるロシア文法の説明は、全て日本語で行う。以上の日本語文が理解できない者は履修を認めない。
This course provides all explanations of Russian grammar in Japanese. Students who are unable to comprehend this Japanese paragraph are ineligible to enroll in this course.

学修の到達目標/Goal of Study

 まず原典講読に必要な文法事項を学び終える。なお、この授業科目の範囲内で「仮定法」を学ぶが、その形成法は英語のそれより単純であり、しかも仮定法には時制がないので把握が極めて容易である。この仮定法の用法の学習を通じて「法」という文法カテゴリーの意味上の本質を学ぶ。
 次に、英語の分詞に相当する形式であって話し言葉においても頻出する「副動詞」および書き言葉において必要不可欠な「形動詞」という文法形式を正確に把握して複雑な文を読解する力を身につける。その後、上記テキストを読む。
  ロシア語は語形変化が複雑である代わりに、それを正確に把握さえしていれば、様々な語形変化によって文中の係り受けが明示されているので長い文であっても英語や中国語のような語形変化の少ない言語よりも理解しやすい場合が多いという特徴がある。このことを体験的に理解できればその後は読解の独学も十分に可能であるし、また会話の学習も容易なので、とにかくこれまでに学んだ文法知識を総動員してロシア人がロシア人向けに書いた原文を正確に読む力を養うことを目指す。学年末には、各自が、たとえ辞書を引く時間は長くかかっても独力で標準的な難易度の露文原文を和訳することができる力を備えることを目指したい。

授業内容・方法と進度予定/Contents and Progress Schedule of the Class

※授業は全て対面で行う。予期せざる特段の事情が発生しない限り、オンライン授業は行わない。
※板書は必ず紙のノートに筆写すること。板書した事項は、全て試験範囲に含まれる。
※授業支援システムとして、Google Classroomを用いる。音声資料等の配布にしばしば用いるので、自宅でもすぐにアクセスできるようにしておくこと。ダウンロードするよう指示されたファイルは必ずすぐにダウンロードし、パソコン内に保存しておくこと。
※担当教員からのメールには必ずすぐに目を通すこと。また、返信するよう指示があった場合には必ず遅滞なく返信すること。

※「展開ロシア語III, 展開ロシア語IV」を通じての注意事項
 今年度の「展開ロシア語III, 展開ロシア語IV」は、昨年度の「展開ロシア語II」で扱う予定だった文法事項のうち、コロナウイルス禍により積み残しとなってしまった事項を学んだ後、下記の順番で学んでいく。このため、学ぶ時期は下記に掲げる平常年の例よりも遅くならざるを得ない。ロシア文法は「積み上げ」として学ばねば理解が不可能であり、粗雑な説明を行ったり、あるいはいい加減な理解を放置した場合には、次の段階で完全な行き詰まりに直面するからである。なるべく早く平常年の進度に追いつくために、学生各自が辞書を丁寧に引いて入念な予習をし、予習段階でも音声教材を使って何度も発音練習を繰り返した上で授業に出席するよう強く要望する。

注)以下の「第X回」はセメスターを通しての回数を示す。

 主な新出文法事項は次の通り。但し、常に学生の理解度を見ながら授業を進めるので、履修者の人数と構成によっては進度がこれより遅くなることも早くなることもあり得る。
 文法事項に関する必要な説明はその都度行うが、受講者による一文ごとの和訳を吟味し、文中の文法的関係を正しく把握しているかどうかをチェックする。特に「展開ロシア語III・IV」においては、単なる毎週のルーティンとしての予習ではなく「ロシア語の読み書きと会話ができるようになりたい」という能動的な態度で予習をして授業に参加することが求められる。

第1回~第4回+10月分補講
・不完了体動詞の受動態
・教科書第14課の本文と会話文の訳読
・教科書第14課の練習問題

第4回~第8回+11月分補講
・単一式比較級短語尾の形式と用法および比較の対象の表現法
・合成式比較級の形式と用法
・「単一式比較級短語尾+всего/всех」による最上級の代用表現
・動詞の「仮定法」の形式とその意味
・接続詞чтобыの用法
・教科書第15課の本文と会話文の訳読
・教科書第15課の練習問題

第8回~第13回+12月分補講
【注:これ以降は配布したプリントにより学ぶ。「副動詞・形動詞」はそれ以外の分の知識を前提とせずに予習でき、またその作り方を覚えるのに非常な時間がかかるので、7月の「展開ロシア語」の授業において配布しておく。8月から12月までのうちに時間をかけて予習をし、プリントに例語として載せてある語については確実に副動詞や形動詞に変化させられるように準備した上で授業に臨むこと。】
・最上級の表現法
・絶対最上級
・ 不完了体副動詞・完了体副動詞の形式と用法
・ 能動形動詞現在・能動形動詞過去の形式と用法
・ 被動形動詞現在・被動形動詞過去の形式と用法
・ 完了体動詞の受動態

第13回~第15回+1月分補講および2月分補講
【注:『白夜』の教材プリントは12月上旬頃に配布する。】
ドストエフスキー『白夜』の原文から難易度を落とさず冗長部分をカットしたテキストを講読する。ロシア語の読解においては、受講者によるロシア語原文からの和訳を一文ごとに吟味し、特に文中の文法的関係を正しく把握しているかどうかをチェックする。もし文法事項に関する復習的な説明が必要ならば、その都度行う。質問は歓迎するが、必ず能動的な態度で予習をして授業に参加することが求められる。

成績評価方法/Evaluation Method

 筆記試験によるが、合格・不合格の判定に際しては、平常点も考慮に入れる。

○筆記試験について
筆記試験の点数は、中間試験を行った授業においては、「中間試験と期末試験の平均点」と、「期末試験の点数」のうち高い方の点数とする。中間試験を行わなかった授業においては、「期末試験の点数」をそのまま当該授業の筆記試験の点数とする。満点は100点である

○平常点について
1)平常点はプラス10点からマイナス30点までの範囲で付ける。
2)出席率を点数化してプラスの平常点とし、筆記試験の成績が不振であった場合の救済に用いることはしない。本学で教える初修外国語科目としてのロシア語の内容は授業に出席せずに理解できるようなものではなく、授業は皆出席が当然である。
3)以上のことから、平常をプラス点として筆記試験の点数に加算するのは最大でも10点である。また、これを行うのは、筆記試験の点数が60点未満であった場合に限る。
4)平常点の基準
ほぼ全回の授業に出席し、宿題を課した場合には宿題を全て提出した者は平常点としてプラス10点を与える。(但し、感染症や忌引などのやむを得ない理由による場合は、その旨申し出れば、欠席しても不利益扱いしない。)宿題を課したのに提出しなかった者は、たとえ皆出席でも平常点をプラスマイナス0点とする。予習しないで受講することを繰り返す者、無断欠席が多い者、1年次に学んだロシア文法の最も基礎的な事項を忘れ、指摘されても改めない者などはマイナス30点を限度としてマイナス点を付ける。

教科書および参考書/Textbook and References

  • ロシア語初級クラス(第2版), 佐藤純一, 白水社 ISBN/ISSN: 4560016232
  • 入門ロシア語文法(改訂版), 和久利誓一, 白水社 ISBN/ISSN: 4560016054

関連URL/URL

・ロシア語による検索サイト
https://yandex.ru/

授業時間外学修/Preparation and Review

・この科目の授業終了後、春休みの間に希望者を対象とした自主ゼミとして『白夜』講読の続きを月に2回程度行うので、この科目を履修した者は必ずこれにも出席されたい。これは、ロシア語の読解力が短期間のうちに飛躍的に向上することを自ら実体験できる良い機会となる。
・「展開ロシア語III・IV」はロシア語原書を読むために必要な文法事項を学ぶための授業である。しかし2年次の「展開ロシア語I・II」が週1コマしかないことにより、この授業も出発点自体が大幅に遅れている。それゆえ、「展開ロシア語IV」でも補講期間のほかに少なくとも月1~2コマ程度の補講が必要である。この補講の日程は受講者全員との日程調整をしてその都度全員の都合が合う日時に決めるが、最も必要なのは履修者本人の意欲である。毎月1回補講があり、場合によっては月に2回補講があったとしてもそれに出席する意欲のある者だけがこの授業を履修できる。
・予習が絶対必要である。毎回の新出単語について辞書を引き、意味だけでなく格支配(つまり、「どの格と結合するか」)や不規則な変化形を調べるという最低限の予習をしてあることを前提として授業を行うので、絶対にこれを怠ってはならない。授業中に「予習をしてありません」と答えることは認めない。
・単語を覚えずに文法だけを学んでもロシア語を学んだことにはならない。各自で単語帳を作成して単語を覚えるよう努力すること。
・本文や会話文については、各文についてどういう意味なのかを推測しておくこと。
・練習問題については、必ず各自の答をノートに書いた上で授業に臨むこと。
・授業内容の理解に困難が生じないよう、毎回の授業の前には必ず前回のノートを見返しておくこと。また、各課が終わった時点でノートを見返し、その課で学んだ知識を整理すること。
・本講の履修者にはロシア文学の名作の日本語訳を読むことを強く勧める。例えばトルストイの『復活』、ドストエフスキーの『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』などの長編は、理由もなく「難解で退屈そうだ」と思われているが、決して退屈するような小説ではなく、極めて現代的なテーマを扱っているので特に薦められる。これらに加え、二葉亭四迷を通じて我が国の言文一致運動に強い影響を与えたツルゲーネフの作品や、我が国でも常に上演され続けているチェーホフの戯曲と短編、ロシア人が最も尊敬するプーシキンのほか、ウクライナ出身でありながら19世紀ロシア文学に甚大な影響を与えたゴーゴリの作品など、推薦すべき作品はここに列挙できないほど数多く存在する。
・また、本講の受講者には、20世紀末までに書かれたロシア・ソ連史の本を読むことを特に強く勧める。現在ロシアのほかウクライナ、バルト3国、ジョージアといった旧ソ連諸国に加え、西欧までもが互いに相反する内容の言説を繰り返しているが、そこに含まれる明らかな嘘に惑わされないためにである。

授業へのパソコン持ち込み【必要/不要】/Students must bring their own computers to class[Yes / No]

・対面式授業の場合、パソコンの持ち込みは不要である。本講では板書を多く用いるが、板書は全て紙のノートに筆写すること。パソコンのアプリで筆写することは不可能なので、授業中にパソコンを開くことを禁じる。

その他/In Addition

・この授業を履修できるのは、「展開ロシア語I」と「展開ロシア語II」の両方、または、少なくとも一方の単位を修得した者に限る。
・文法がいかに煩雑であろうとロシア語を最後まで学び、ロシア語の原書が読めるようになりたいという意欲のある者を歓迎する。
・課外活動は、試験を受けられない理由としては認めない。
・正当な理由なくして試験を受けなかった者には単位を認定しない。忌引、急病など真にやむを得ない事情があって試験を欠席した場合であっても、必ず試験日当日中に担当教員にメールで連絡してその旨申し出ること。
・この授業は複数学部に向けて開講されたクラスであって、教員側で一定の時間帯を面談可能時間に設定することは一部の学生にとってはかえって便宜に反することにもなり得るので、設定しないことにする。したがって、個人での質問や学習についての相談は随時、担当教員と学生の双方の都合が合う時間に受け付ける。しかし、担当教員の他の授業や会議等の時間と重なって学生自身が無駄足にならないためにも、授業の直後に申し出るか、もしくは、事前にEメールで面会の予約を取ってから研究室に来てくれることが望ましい。

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