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東洋・日本美術史講読 / History of Oriental and Japanese Fine Arts (Reading)

後期 木曜日 2講時. 単位数: 2. 担当教員/Instructor: 杉本 欣久. セメスター: 6. 履修年度: 2024. 科目ナンバリング: LHM-ART304J. 使用言語: 日本語.

主要授業科目/Essential Subjects

東洋日本美術資料研究

授業題目

美術資料を読む

Course Title (授業題目)

Training to read information of Japanese art work

授業の目的と概要

 本講は本当の意味での「美術鑑賞」を行うための実践的授業で、講師の近著である『鑑定学への招待』に書いた内容を実際に行う。つまり、毎回、日本美術史が扱う絵画、彫刻、工芸など諸分野のなかから1作品を取り上げ、そこから読み取るべき情報の獲得を「トレーニング」する。
 たとえば、絵画作品について「筆遣いが良い」との評価がなされた場合、それを「実感」するためには「感性」によるしかないと一般的には思われているだろう。ここで言う「感性」とは持って生まれたり、環境によって育まれた個人の「資質」に起因するものだが、そのように規定してしまえば「教育」の余地が失われることになってしまう。けれども、多くの人がそれを「実感」し、共有するためには「教育」が不可欠である。
 そこで本講では同じようにみえる類似した2作品を提示し、その中に存在する相違点を見出して指摘、発表していく実習形式をとる。作品比較を続けていけば、やがて「どちらが良い線か」「どちらが上手いか」などの「認識」が育まれてくる。
 これは美術史研究にとって不可欠な「スキル」であり、その先に「真贋」の判別にも必要な「鑑識眼」の獲得に結びつくのは言うまでもない。
 毎回、他学部や他専修の受講生も参加しており、この論理性を重視する方法論はどのような学問にも有効と考える。未開発の能力が開花する可能性もあるため、美術史を専門としない学生の受講も歓迎する。

Course Objectives and Course Synopsis(授業の目的と概要)

This course provides programs of training to read information on Japanese art work.It helps students learn about the differences between Japanese art work by comparison and appreciate them.

学習の到達目標

 美術作品を歴史資料として用いる場合だけでなく、一般的な鑑賞の際にも「どこを見れば良いのかわからない」といった声をよく耳にする。それはこれまでの学習方法において、書籍によって何らかの事象を調べることには慣れているものの、対象に即して自分自身の眼でつぶさに観察分析し、情報を読み取る訓練がほとんどなされていないことに起因している。試みに、ある作品を調査せよと指示すれば、多くが実物を観察するより先に、それについて記された本を探すことから始めてしまうだろう。このような姿勢では、いつまで経っても作品そのものから情報を引き出すことはできない。
 そこで本講は、作品を置き去りにしないために、対象に即して読み取るべき情報とは何かを考え、その優先順位を見極め、さらにそれを的確な言葉で表現する能力の養成を目的とする。作品から情報を読み取る「インプット」と、それを第三者に伝える「アウトプット」の両面を重視し、単に美術作品にとどまらない情報収集能力と説明能力の向上を目指す。

Learning Goals(学習の到達目標)

This course aims to improve the students' ability to read information on art work and explain their thoughts.

授業内容・方法と進度予定

Classroomを使用して授業を行うとともに、講義資料と講義情報を発信します。
Classroomにアクセスし、クラスコードを入力してください。

予習で行なってきた作品観察、解説批判の結果を、最初の1時間で受講生が発表する。残りの30分は講師が作品について論じる。以下におおよその内容を示しておく。
1回目 ガイダンス
2回目 絵画
3回目 刀装具
4回目 絵画
5回目 刀装具
6回目 絵画
7回目 和鏡
8回目 絵画
9回目 和鏡
10回目 絵画
11回目 陶磁器
12回目 絵画
13回目 受講生による作品の比較発表
14回目 受講生による作品の比較発表
15回目 受講生による作品の比較発表

Class Schedule and Activities(授業内容・方法と進度予定

This course is centered on a questions and answers session and a lecture.

成績評価方法

 事前にクラスルームに掲げる画像を予習として分析しておき、授業当日に行う質疑内容によって評価する。消極的受動的な態度は得点とはならない。
 十分な出席が必要となり、かつ消極的受動的な授業態度であれば単位は出ない。評価は発表内容とともに主体性の部分で判断する。

Grading Plan(成績評価方法)

Presentations and class participation 100%.

教科書および参考書

【参考書】
◎基本図書
杉本欣久『鑑定学への招待』(中央公論美術出版)

辻惟雄『カラー版 日本美術史』(美術出版社)
尾藤正英『日本文化の歴史』(岩波新書668)

◎美術全集
『原色日本の美術』(小学館 1970年代前半)
『日本美術絵画全集』大型版・普及版(集英社 1970年代前半)
『水墨美術大系』大型版・普及版(講談社 1970年代前半)
『日本美術全集』(学習研究社 1970年代後半)
『日本美術全集』(講談社 1990年代前半)
『世界美術大全集』東洋編(小学館 1990年代後半)
『日本美術全集』(小学館 2010年代)

授業時間外学習

 内容によっては実際の作品を授業に持参するが、日頃から博物館や美術館、神社仏閣へと足を運び、実物から何を得ることができるのか、自身の眼を通じて主体的に体感しておく必要がある。また、実生活のなかで何を観ていて何を観ていないか、あるいは何が見えていて何が見えていないか、自身の観点を客観化する訓練をしておくとよい。

実務・実践的授業/Practicalbusiness※○は、実務・実践的授業であることを示す。/Note:"○"Indicatesthe practicalbusiness

その他

単位を取得するためには、全体の3分の2以上の出席を要する。

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