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倫理思想演習 / Western Ethical Thought (Seminar)

前期 金曜日 2講時. 単位数: 2. 担当教員/Instructor: 村山 達也. セメスター: 5. 履修年度: 2024. 科目ナンバリング: LHM-PHI315J. 使用言語: 日本語.

主要授業科目/Essential Subjects

倫理思想演習

授業題目

論証で辿る西洋倫理学史

Course Title (授業題目)

History of Western Ethics through Arguments

授業の目的と概要

倫理学の醍醐味の一つは、道徳や幸福についてたんに意見を言うことではなく、そうした意見を根拠とともに主張したり、その根拠を吟味したりすることにあります。偉大な倫理学者たちが偉大なのにはさまざまな理由がありますが、その一つは、その人たちがしっかりした議論を作り、常識的な前提から、否定しがたいステップで、とてつもない帰結を引き出したりしたことに求めることができるでしょう。この演習では、プラトン以来の西洋倫理学史を、倫理学者たちのテキストから議論を再構成することを通じて学びます。
最初の数回で論証の再構成の仕方を学び、あとはひたすら倫理学者たちのテキストから論証を再構成していきます。たびたび課題を出しますので、演習の前に提出し、演習で素材として提示してください。それをもとに、みなで論証を検討していきます。

Course Objectives and Course Synopsis(授業の目的と概要)

In this seminar, we will learn the history of Western ethics since Plato through reconstructing arguments from the texts of the great moral philosophers. In the first sessions, we will learn how to reconstruct arguments, and after that we will work on reconstructing arguments from the texts of the great moral philosophers. Assignments are frequent. Active participation is required.

学習の到達目標

西洋倫理学史について一定の知識を身につける。
論証の再構成ができるようになる。

Learning Goals(学習の到達目標)

The goal of this seminar is to acquire a certain knowledge of the history of Western ethics and to be able to reconstruct arguments.

授業内容・方法と進度予定

(演習ですので、以下はあくまで予定であり、大いに変更の余地があります。)
第一回:ガイダンス
第二回:論証の再構成のやり方(テキスト:野矢茂樹『新版 論理トレーニング』第四章)
第三回:論証の再構成のやり方(テキスト:レイチェルズ「相対主義の挑戦」)
第四回:論証の再構成のやり方(グーグルドキュメント上でダイアグラムを作る)
第五回:プラトン『ゴルギアス』より、不正を受けるよりもなすほうが悪いこと
第六回:アリストテレス『ニコマコス倫理学』より、幸福が最高の善であること
第七回:アリストテレス『ニコマコス倫理学』より、道徳的完成主義
第八回:トマス・アクィナス『神学大全』より、神の存在証明
第九回:ライプニッツ『理性に基づく自然と恩寵の原理』より、この世界が最善であること
第一〇回:パスカル『パンセ』より、賭けの議論
第十一回:カント『道徳の形而上学の基礎づけ』より、幸福が最高の善ではないこと
第十二回:ミル『功利主義』より、功利原理
第十三回:ムーア『倫理学原理』より、自然主義的誤謬の批判
第十四回:マッキー『倫理学』より、誤謬理論の証明
第十五回:まとめ

成績評価方法

課題の提出70%、演習内のパフォーマンス30%。

Grading Plan(成績評価方法)

Assignments (70%) and in-class performance (30%).

教科書および参考書

必要なものはすべてこちらで用意します。

授業時間外学習

たびたび課題を出しますので、演習前に提出してください。

その他

論証の再構成や論理学を学んだことのない学生向けの注意:最低限の知識は演習内で説明しますが、論証の再構成や論理学について自習したり読書会をしたりすることは演習を受ける上で非常に有益です。教科書としては野矢茂樹『新版 論理トレーニング』(産業図書)やノルト、ロハティ『マグロウヒル大学演習 現代論理学(Ⅰ)』(オーム社)をお勧めします。
論証の再構成や論理学を学んだことのある学生向けの注意:この演習での第一の目標は、古典的なテキストから前提/帰結関係を大づかみに取り出すです。そのため、議論の妥当性をチェックしたり、どんな前提を足して妥当にするのがよいかを検討したり、記号化してそれを確かめたりといったことは基本的には行ないません。ただし、そうした作業のために必要な準備作業の練習という意味では、進んだ学習を終えた方にも有益でありうると思います。

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