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基礎ロシア語Ⅱ

後期 火曜日 5講時 川北キャンパスA203 / 後期 金曜日 5講時 川北キャンパスA203. 単位数/Credit(s): 2. 担当教員(所属)/Instructor (Position): 柳田 賢二 所属:東北アジア研究センター. 対象学部/Object: 全. 開講期/Term: 2セメスター. 科目群/Categories: 全学教育科目言語科目-ロシア語. 履修年度: 2024. 科目ナンバリング/Course Numbering: ZLF-RUS102J. 使用言語/Language Used in Course: 日本語.

主要授業科目/Essential Subjects

各学部の履修内規または学生便覧を参照。

授業題目/Class Subject

ロシア語入門Ⅱ
Elementary Course of Russian Grammar for Japanese-speaking Students II

授業の目的と概要/Object and Summary of Class

・文法知識と並行してロシア語を読み、書き、聞き、話すための基礎的能力を養う。
・ロシア語の語形変化を学ぶために極めて有効な「音素」の概念について学ぶ。
・動詞の現在特殊変化、-ся動詞の意義と変化、不定人称文の構造と意義、動詞の過去形などロシア語の初級文法のうちの再重要部分を把握し、ロシア語の文法構造の概要を理解する。
・次々と新しい文法事項が出て来るので論理的思考力と膨大な記憶負担量が要求されるが、一旦ロシア語の学習を始めた以上は「難しいからこそ挑み、克服する」という意志を持ち続けてほしい。

・この科目は完全な初心者向けのロシア語の授業であり、海外においてロシア語で教える学校(日本の高校以上に相当する学校)を卒業した者は国籍・民族を問わず履修できない。(注:次の露文はこの注意事項の訳である。)
【ВНИМАНИЕ!】Это занятия русского языка для настоящих начинающих. Не допускаются студенты, окончившие русскоязычную школу, независимо от гражданства и национальности.
【インターネットおよびスマホに関する注意事項(重要!)】
(1)インターネット上で無償で閲覧できるサイトのロシア語の語彙、音韻、文法に関係する情報には誤ったものが数多くあるが、当然のこととして初級・中級の学習者にはその正否の判別ができない。したがって、本学でのロシア語学習においてはロシア語の単語や文法事項をインターネット上で調べることを禁じる。
(2)特に無償の「オンライン辞書」、「辞書アプリ」、「翻訳アプリ」の類は誤りが極めて多い。しかも単語の語形変化やそれに伴うアクセント移動といったロシア語学習において絶対必要な情報が示されていないので、本学におけるロシア語の授業との関連においてこれらを用いることは絶対にしてはならない。必ず露和辞典を購入し、それを使って調べること。インターネット以外の有償の「電子辞書」の使用は禁じないが、「紙の辞書」の方が文法説明が詳しいので後者を薦める。
(3)以上の理由により、授業中にスマホを扱うことを厳禁する。また、他の授業での必要上タブレットPCやノートPCを教室に持ち込んでいる場合であっても、ロシア語の授業中にインターネットに接続してはならない。
(4)板書は、必ず紙のノートに筆写すること。板書した事項は、全て試験範囲に含まれる。

 この科目におけるロシア文法の説明は、全て日本語で行う。以上の日本語文が理解できない者は履修を認めない。
This course provides all explanations of Russian grammar in Japanese. Students who are unable to comprehend this Japanese paragraph are ineligible to enroll in this course.

学修の到達目標/Goal of Study

・無人称文の構造と意義、規則動詞(第2変化)の現在変化、名詞の格変化の意義と単数格変化の規則的パターンおよび複数主格形の作り方など初級文法のうちの再重要部分を学ぶ。
・「音素」の概念を学び、ロシア語の音韻体系への理解を深める。「音素」を知ると、文字表記では一見複雑極まりなく見える名詞の格語尾が実は案外に単純であり、規則的であることが理解できる。
・動詞の現在特殊変化、-ся動詞の意義と変化、不定人称文の構造と意義、動詞の過去形など初級文法のうちの再重要部分を把握し、ロシア語の文法構造の概要を理解する。
・次々に新しい文法事項が出てくるがその全てが重要なものであるので、形式と意味を正確に理解する。

授業内容・方法と進度予定/Contents and Progress Schedule of the Class

※授業は全て対面で行う。予期せざる特段の事情が発生しない限り、オンライン授業は行わない。
※板書は必ず紙のノートに筆写すること。板書した事項は、全て試験範囲に含まれる。
※授業支援システムとして、Google Classroomを用いる。音声資料等の配布にしばしば用いるので、自宅でもすぐにアクセスできるようにしておくこと。ダウンロードするよう指示されたファイルは必ずすぐにダウンロードし、パソコン内に保存しておくこと。
※担当教員からのメールには必ずすぐに目を通すこと。学期中であるにもかかわらず「この間ずっとメールを開かなかった」などと言う学生が時折見られるが、大学において、そのような態度は許されない。また、返信するよう指示があった場合には必ず遅滞なく返信すること。

・ロシア語の基礎を丁寧に学ぶ。教科書の各課について、原則として「発音練習、文法説明、読解、練習問題」の順で学んでいく。
・ロシア語に限らず大多数のヨーロッパ系言語では単語が(動詞の場合)「法」・「時制」・「人称」・「数」、(名詞の場合)「数」・「格」、(形容詞の場合)「性」・「数」・「格」のような文法的カテゴリーの組み合わせを同時に表すために多くの形に変化する。文法説明においてはこれらの文法的カテゴリーに関して学生との対話を交えながら解説していく。それを理解しないと何のために単語の形が変化するのか自体が分からず学習の致命的障害となるので、板書をすべてノートに取ることはもちろん、少しでも不明な点についてはその場で質問するなど主体的に授業に参加することが望まれる。
第1回~第2回
・第3課の本文と会話文の訳読(続き)
・挨拶の表現
…「お早うございます」、「こんにちは」、「こんばんは」には形容詞добрыйの中性形と男性形が現れる。名詞の性の判別法と形容詞が変化する意義を理解していないとなぜдобрыйの形が違うのかが理解できない。
第2回~第5回 第4課の発音と文法
・第4課本文の発音練習
 第4課で学ぶ文法事項は次の通り。
・無人称文について(重要!)
…ロシア語の第3人称人称代名詞он,она,оно,ониは言ったり書いたりすると特定の人や物を指してしまう。それゆえ、英語のIt is cold today. のような文に相当する「無人称文」では、Itに相当する第3人称中性代名詞оноが現れることは決してないが、この授業では「決して出てこないがоноが隠れている」と考える。そう考えないと過去や未来でなぜ動詞бытьの第3人称単数・中性形が現れるのかが理解できないからである。また、ロシア語では「無人称文」が英語よりもはるかに頻繁に用いられるのでこの段階できちんと文法的に把握しておく必要がある。
・また、英文法ではIt is interesting to read Russian books. のようにto不定詞で始まる句を「意味上の主語」とする文のItは「形式主語」あるいは「仮主語」などと呼ばれてIt is cold today. のような文のItとは別に扱われるが、ロシア文法ではこの場合まで含めて「無人称文」と呼び、一括して説明される。
・形容詞短語尾中性形について
…形容詞が無人称文の「述語」(英文法式に言えばIt is CのC)として用いられる場合、「基礎I」で学んだ中性形(長語尾中性形)ではなく「оまたはе」の1文字だけの語尾で終わる「短語尾中性形」が用いられる。これについて重要な不規則変化の形容詞も含めて学ぶ。形容詞短語尾中性形はそのまま副詞として使うことができるので極めて頻繁に用いられ、重要である。
・無人称述語専用の語について(重要!)
…無人称文の「述語」となれるのは形容詞短語尾中性形だけではなく専ら無人称述語として用いられる語も存在するが、「~しなければならない」、「~してもよい;~できる」、「~してはならない」等々の意味を表すのでいずれも極めて頻度が高く重要である。それらについて、否定文で用いられた場合の意味と併せて学ぶ。なお、これらは無人称述語なのだから、当然のこととして名詞類の主格で表す「主語」を持つことはできない。
・動詞の不定形について
…規則動詞の不定形の語尾が-тьであることは「展開ロシア語I」で学んだが、その他に不定形で-тиまたは-чьという語尾を取る動詞も少数ながら存在する。これらは、少なくとも規則動詞ではない。
・規則動詞はみな不定形が-тьで終わるが、不定形が-тьで終わる動詞がみな規則動詞であるわけではない。
・動詞の不定形が「~すること」という意味を表せることは英語の「不定詞」と同様だが、それだけでは原則として「~するために」や「~するための」という意味は表せない。
・бытьの現在形естьについて(復習)
…不定形がестьである動詞は「食べる」という意味の全く別の語であり、その現在形は甚だしい不規則変化である。
第5回~第7回 第4課本文と会話文の訳読および練習問題の解答
・第5課本文の発音練習
第7回~第9回 第5課の文法
 第5課で学ぶ文法事項は次の通り。
・第3人称の所有代名詞его,её,их…いずれも一切不変化。
・動詞の現在人称変化について
・第1変化(復習)
・第2変化(新出)
…第2変化の規則動詞говоритьを用いて現在語幹が不定形から-тьだけでなくその前の母音字1文字を除いたものに等しく、それゆえ現在語幹と不定形語幹が異なること及び現在の語尾が第1変化と異なることを学ぶ。
・現在の1人称単数を除く諸形でアクセントが語幹に移動する語も多い。
…смотреть「(見ようとして)見る」を例に学ぶ。
・名詞の格について(復習)
…ロシア語の名詞の「主格、生格、与格、対格、造格、前置格」がそれぞれ「~が/は、~の、~に、~を、~で/として、(なし)」という日本語の助詞にほぼ対応することは1セメの末に配布したプリントで学んである。ここは教科書p.72にある例文でそれを確認するにとどめる。
・国籍形容詞から規則的に作られる副詞
…「~式に」、「~風に」を意味するが、これをこの授業では仮に“国籍副詞”と呼ぶ。
・言語名の名詞=「国籍形容詞+язык」
・動詞говорить「話す」とчитать「読む」は言語名の名詞の対格(=主格)と結合できず、国籍副詞とともに用いる。またпонимать「分かる、理解する」も言語名の名詞の対格ではなく国籍副詞とともに用いることが多い。特に前2者は意外であり、極めて間違えやすいので重要である。
第9回~第12回 第5課本文と会話文の訳読および練習問題の解答
・名詞の単数対格(1)
…女性名詞では「а→у,я→ю,ть→ть」である。また、中性名詞では無条件で「単・主=単・対」である。ここではまずこれのみ学ぶ。
・becauseに相当する接続詞《, потому что》
…ロシア語では、従属節を導く接続詞は必ず直前にコンマを置く。ここでは英語のbecauseもロシア語のпотому чтоも日本語の「(SがVする)から/ので」に相当する従属接続詞であることを学ぶ。
第12回~第16回
・第6課本文の発音練習
【注:第6課は他に比べて新出文法事項が多く、しかも丁寧に説明しないと誤解を招く事項が多い。また、ここの冒頭で「音素」の概念を学んでおかないと複数主格形の作り方が理解できず挫折する恐れがある。したがって、やむを得ず文法説明に1ヶ月以上の時間をかける。】
○「音素」の概念について
言語とは,ある言語の話者にとってごく当然であるものが他のある言語の話者にとっては全く想定外の区別であって,しかも前者ではこれを区別しなければ表現が成り立たないがゆえに常にこれを強要されているにもかかわらず、その話者にとってはその区別が当然のことであって、それが意思も質量も持たない「言語」による強要されたものであると認識され得ないという恐ろしげな一面を持つ。例えば、日本語でも英語でもロシア語でも区別され、「違うのだから区別されて当然」と思われている有声破裂音と無声破裂音の違いが中国語や朝鮮語では語の意味の区別に用いられず、したがってそれらを入れ替えても語の意味に影響しない。他方、中国語でも朝鮮語でも語の意味の区別に用いられている「有気破裂音」と「無気破裂音」の違いは、日・英・露語のいずれにおいてもその両方が現れるにもかかわらず、語の意味の区別のために役立てられてはいない。
 外国語を学ぶことの最大の意義はこうしたことを実体験することにあると言っても過言ではない。ここでは「当該の言語において語の意味の区別に役立ちうる最小の音的単位」としての「音素」の概念を学び、ロシア語の子音音素においては「有声音」と「無声音」だけではなく「軟子音(=口蓋化子音)」と「硬子音(非口蓋化子音)」の違いも語の意味の区別に用いられており、それゆえ軟子音と硬子音とは一貫して別音素を成すということを学ぶ。
 ロシア語の文字体系は語の音素構成をよく反映しており、ほとんどの場合綴りから音素構成を知ることができる。そして、文字表記の上では甚だ煩雑に見える名詞の変化も語幹末子音と語尾を音素表記にしてみるとごく単純であることが分かり、音素を知れば語形変化を覚える際の記憶負担量を減らすという実用的な効果も大いに期待できる。
・「弁別的対立」(語の意味の区別に役立つ音対立)について
・我々が同じ音だと思って発音している音が、実は音声学的に大きく違う音であることはよくある。しかし、いかに違ったとしても互いに弁別的対立を成さず、入れ替えても語の意味が変わらないとすれば、それらは同じ音的単位が実現されたものだと考えることができる。
・音素の定義
・音素(抽象的単位)― 異音(その実現)
・ロシア語の「(硬/軟)子音音素+母音音素」と綴りの関係(重要!)
…特に、/ti/→ты,/t'i/→ти,/ji/→и となること。
第17回~第19回
【注:12月中旬の、なるべく早いうちに中間試験を行う。】
・名詞の複数主格…最も代表的な語尾は男・女性名詞では-/i/,中性名詞では-/a/
・男・女・中性ともアクセントが移動する語がある。
・一部の男性名詞では複数主格の語尾としてアクセントのある-/a/を用いる。
・不規則な複数主格を持つ語について…特に親族名称。
・正書法の規則(復習)
第19回~第20回 ロシア語の前置詞について
・「前置格は必ず前置詞とともに用いる」は正しいが、その「逆」は誤り。
・各々の前置詞は、結び付く格が決まっている。したがって、ロシア語の前置詞は、例えば《для+生格》で「~のために」なのだと覚えない
と使えない。与格、対格、造格、前置格と結び付く前置詞の例。
・2つ以上の格と結び付く前置詞もあるが、その場合、どの格と結び付くかによって全く意味が違ってくる。その例。
・重要な前置詞《о+前置格》「~について」がоб,обоという形にもなることについて
【冬休みの宿題】
・「人称代名詞の格変化」(p.74)を覚えてくること。これは学年末試験の範囲に含まれる。
・人称代名詞では、たとえ不活動体を指す場合であっても、必ず「対格=生格」である。
・注意!)人称代名詞の生格は「~の」(所有・所属)の意味を表すことはできない。この生格は、《для+生格》のような生格と結合する前置詞や生格と結合する動詞とともに用いるためにある。「~の」の意味は、先に「基礎ロシア語I」で学んだ「所有代名詞」(мой, твой, etc.)で表す。
第20回~第22回
・単数前置格の形式について
…-ия/-ий/-ие→-ии,(女)-ть→-ти,(中)-мя→-мени,それ以外は全て語尾-/e/。但し、この-/e/は語幹末の子音が硬子音音素である場合にはそれを対応の軟子音音素に変えてしまう。
・《о+前置格》を用いて前置格を覚える習慣を身に付ける。
・前置詞《в+前置格》(inに近い)、《на+前置格》(onに近い)について
・前置詞《в+前置格》/《на+前置格》の使い分け
…ほとんどの場合常識に従うが、示される物の形状にかかわらずнаとしか結合しない語もある。「駅」、「工場」、「郵便局」などを表す語。島や半島の名のほかごく一部の地名。
第22回~第23回
・動詞の特殊変化
…アクセント語尾固定型のжить,語幹固定型のехать(p.38),移動型のмочьの変化を学ぶ。
・不規則動詞хотеть(=want)の現在変化。
・《хотеть +不定形》で“want to不定詞”に相当し、「~したい(と思っている)」。
第23回~第24回
・語尾よりさらに後に付く要素を「後接辞」という。
・後接辞-сяは元来は「自らを」という意味の語だった。
・現代語では-сяの付いた動詞は元の動詞とは別々の語と考える。-сяが付いてどういう意味になるかは動詞によって違うので、勝手にся動詞を作ってはならない。
・第2変化動詞учить「教える」の現在変化。正書法の規則による綴りの修正あり。
・-сяは2つの形で現れる。 …-сь(母音字の後で)/-ся(母音字の後以外で)
・-тсяと-тьсяは発音上同じになる。
・ся動詞учиться「学ぶ」の現在変化
…учитьの変化形に-сь/-сяを付けるだけ。
第24回~第26回 第6課本文と会話文の訳読および練習問題の解答
・ロシア語特有の表現「ウラルにチェリャビンスクに(住んでいる)」の訳し方。「ウラルのチェリャビンスクに~」
・前置詞через +対格(時間量の名詞)「~後(ゴ)に」
・電話での表現。かけた方と受けた方の「もしもし」。「(こちら)~です。」
・увидимся/увидимтесь「会おう/会いましょう」。
第26回~第28回
・第6課本文の発音練習
・「行くところだ」の意味を表す特殊変化動詞
идти「(歩いて)行くところだ」…アクセント語尾固定型
ехать「(乗って)行くところだ」…アクセント語幹固定型
・「待つ」の意味の他動詞ждать…アクセント語尾固定型
・不変化名詞
…ロシア語の名詞は必ず6格のうちいずれかの意味で用いられる。しかし、意味の上で格変化しても形が変わらない例外的な名詞がある。これを「不変化名詞」と呼ぶ。
・-иや-у等で終わるので変化させようのない外来語名詞は不変化名詞となる。
・-о/еで終わる外来語名詞は中性名詞型の変化をせず、不変化名詞となる。
・「(乗り物)で」の表現→《на +前置格》(乗り物の形状にかかわらず無条件で使える。)
・名詞の対格
(男性)活動体なら単・対=単・生 したがって、учитель→учителя
   不活動体なら単・対=単・主 したがって、дом→дом
(中性)無条件で 単・対=単・主 したがって、имя→имя
(女性)単・対の語尾は-/u/である。
したがって、школа→школу,Россия→Россию
但し、(女)-ть→-тьなので、тетрадь→тетрадь
(複数)活動体なら複・対=複・生 したがって、студент→студентов(未出)。不活動体なら複・対=複・主 したがって、школы→школы。
・「~へ」の表現…1語で英語のtoに相当する語はなく、次の2語を使い分ける。
в +対格 (intoに近い)
на +対格 (ontoに近い)
但し、この場合も、вとнаの使い分けは《в/на +前置格》の場合と全く同じである。前置格でнаとしか結合しない名詞は対格でもнаとしか結合しない。
・不定人称文(特に重要!)
…これは、英語のThey speak English in Australia.のような「特定の人々を指さないThey」を主語とする文に相当するが、ロシア語では英語に比べこの構文が非常に頻繁に用いられる。
 英語のtheyに相当するロシア語はониであるが、これは言ったり書いたりすると「特定の人々」を指してしまうので決して現れない。しかし、ониが隠れているので、動詞は第3人称複数形となる。「Sなし」で「Vが3・複」の文はほとんどの場合この「不定人称文」である。
・「~するために」の表現
…不定形だけでは表せず、「, чтобы +不定形」で表す。これは無条件で使える。
・但し、次の場合だけはчтобыなしで「移動の目的」を表せる。
「~しに行く/来る」→「行く/来る」の意味の動詞+不定形
・ロシア語の、特に現在時制では日本語や英語と違って「行く」と「来る」を義務的に区別しなければならないわけではない。それゆえ、идти/ехатьが「来るところだ」と訳される場合もある。
第28回~第29回 第7課本文と会話文の訳読および練習問題の解答
・идти/ехатьはあくまでも「行く(来る)ところだ」という意味であることを忘れずに適訳を考える必要がある。
第29回~第31回 教科書第8課文法の2.「動詞の過去形-不定形語幹+-л, -ла, -ло, -ли」(p.42)について
【この課では動詞の未来形(項目1.)と過去形(項目2.)を学ぶが、未来形を先に学ぶと動詞の形式について不要な誤解が発生することが多いので、教科書とは順序を逆にして過去形を先に学ぶ。また、動詞の過去形と形容詞の短語尾形が出てくるので、先に発音練習をすると語尾の部分だけを取り違える誤りが頻出する。そこで、本文は1回聞いて《-л, -ла, -ло, -ли》が動詞の過去形であることに慣れるように
し、先に文法説明をする。】
・大多数の動詞において「過去語幹=不定形語幹」。
・現在形が「第1変化」、「第2変化」、「特殊変化」、「不規則変化」のいずれの変化型により作られるかは過去形の形成に持ち越されず、無関係。
・過去時制では、「主語の人称」は一切無関係である。(重要!)
・語尾は「主語の性と数」によって選択され、次の4つしかない。
つまり、過去語幹(=不定形語幹)にこれらのうちいずれかを付けるだけで動詞の過去形を作ることができる。
過去の語尾: (男性)-л (女性)-ла (中性)-ло (複数)-ли
・第1, 2人称の人称代名詞が主語である場合の過去形の選択について(重要!)
・мы, вы → 複数形-ли
(注:たとえвыが1人を指していても動詞は必ず複数形!)
 つまり、выがどんな人(々)を指そうと、動詞が例えばчитатьならば、Вы читали? 以外はみな不可。
・я, ты →-лまたは-ла (注:я, тыが示す人物の性別に合わせる!)
したがって、Я говорю. (<говорить)の過去「私は話し(てい)た」は、
(男の人が言えば)Я говорил.   
(女の人が言えば)Я говорила.   となる!
・ся動詞の過去形は、
(男性)-лся (女性)-лась (中性)-лось (複数)-лись
・動詞の過去形におけるアクセント…不動が原則だが、移動する場合のパターンは次の2つ。
パターン①(女性形-лаのみ語尾アクセント)
パターン②(男性形以外全部で語尾アクセント)
・過去形を作ることを実践してみるために、p.43の練習2.をまず解いてみる。
第32回 期末試験

成績評価方法/Evaluation Method

筆記試験によるが、合格・不合格の判定に際しては、平常点も考慮に入れる。

○筆記試験について
筆記試験の点数は、中間試験を行った授業においては、「中間試験と期末試験の平均点」と、「期末試験の点数」のうち高い方の点数とする。中間試験を行わなかった授業においては、「期末試験の点数」をそのまま当該授業の筆記試験の点数とする。満点は100点である。

○平常点について
1)平常点はプラス10点からマイナス30点までの範囲で付ける。
2)出席率を点数化してプラスの平常点とし、筆記試験の成績が不振であった場合の救済に用いることはしない。本学で教える初修外国語科目としてのロシア語の内容は授業に出席せずに理解できるようなものではなく、授業は皆出席が当然である。
3)以上のことから、平常をプラス点として筆記試験の点数に加算するのは最大でも10点である。また、これを行うのは、筆記試験の点数が60点未満であった場合に限る。
4)平常点の基準
ほぼ全回の授業に出席し、課された宿題を全て提出した者は平常点としてプラス10点を与える。(但し、感染症や忌引などのやむを得ない理由による場合は、その旨申し出れば、欠席しても不利益扱いしない。)宿題を提出しなかった者は、たとえ皆出席でも平常点をプラスマイナス0点とする。
 宿題を提出するしないにかかわらず、次に例示するような行為をした者の平常点は、マイナス1点からマイナス30点の間で付ける。このような行為をする者がいると授業の進度が遅くなり、担当教員はもとより当該授業の履修学生全員に迷惑を及ぼすことを認識し、絶対に行わないこと。
例:
・授業中に指名されても返事をしない。
・出席を取る時には出席しているが、指名された時にはいなくなっている。
・「文字と発音」の学習は終えているにもかかわらず、ロシア文字が読めない。
・次回授業で学ぶことが確実なページに書かれているロシア語の単語を辞書で調べてくるという最低限の予習を行わず、注意されてもその態度を改めない。
・「次回は練習問題をするので必ず予習してくること」と明言されたにもかかわらず、全く予習せずに授業に出席する。
・授業中にスマホなどで無関係のことをしており、指名されても、何を尋ねられているのかすら分からない。

注意)“AA”評価について
 90点以上ならば“AA”評価が当然だと考えている学生が時折見られるが、これは誤りである。そもそも“AA”評価は「成績が特に優秀である者」に対してのみ与えてよい評価である。また、初修外国語科目においては、語種を問わず、GPAが「2.5±0.3」の範囲に収まるように評価を付けることとされている。“AA”評価を得ることができるのは、むしろ例外的な場合であるということを認識すること。

教科書および参考書/Textbook and References

  • ロシア語初級クラス(第2版, 佐藤純一, 白水社 ISBN/ISSN: 4560016232
  • 入門ロシア語文法(改訂版), 和久利誓一, 白水社 ISBN/ISSN: 4560016054

関連URL/URL

東北大学言語・文化教育センター ロシア語セクション
http://www.ccle.ihe.tohoku.ac.jp/section/russian/

授業時間外学修/Preparation and Review

・知らない単語を辞書で調べるという最低限の予習は必ずしてあることを前提に授業を行うので、予習を絶対に怠らないこと。ロシア文字見出しの辞書を引くのは慣れるまでに時間がかかるが、自ら辞書を引くことを頻繁に行わなければ慣れることもできない。
・当然のことであるが、授業は全て出席していることを前提に毎回の授業を行い、試験を行う。絶対に「サボり癖」を付けないこと。この授業は文法事項を板書で説明するので、「サボり癖」が付いたら試験で合格点を取ることは絶対に不可能である。
・もしやむを得ぬ事情で欠席した場合には他の学生のノートを写真に写させてもらい、それをさらに自分のノートに筆写する程度のことはして当然である。「その時の授業に出ていなかったので知りません」などという言い訳はいかなる授業であろうと通用しない。
・和久利誓一著『入門ロシア語文法(改訂版)』は予習・復習の際および試験前などの文法知識整理のための文法書であり、外国語の学習には文法書が絶対に必要なので教科書指定したものである。説明する事項が載っている頁を授業中に指示するので、復習や試験前の知識整理のために活用すること。
・学年末試験の範囲に「人称代名詞の格変化」(p.74)を含めるので、各自冬休みのうちに覚えてくること。
・文系・理系を問わず、本講の履修者にはロシア文学の名作の日本語訳を読むことを強く勧める。例えばトルストイの『復活』、ドストエフスキーの『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』などの長編は、理由もなく「難解で退屈そうだ」と思われているが、決して退屈するような小説ではなく、極めて現代的なテーマを扱っているので特に薦められる。

授業へのパソコン持ち込み【必要/不要】/Students must bring their own computers to class[Yes / No]

対面式授業では、パソコンの持ち込みは不要である。本講では板書を多く用いるが、板書は全て紙のノートに筆写すること。パソコンのアプリで筆写することは不可能なので、授業中にパソコンを開くことを禁じる。また、スマホを扱うことも厳禁する。

その他/In Addition

・課外活動は、試験を受けられない理由としては認めない。
・正当な理由なくして試験を受けなかった者には単位を認定しない。忌引、急病など真にやむを得ない事情があって試験を欠席した場合であっても、必ず試験日当日中に担当教員にメールで連絡してその旨申し出ること。
・当然のことであるが、授業は全て出席していることを前提に毎回の授業を行い、試験を行う。絶対に「サボり癖」を付けないこと。この授業は文法事項を板書で説明するので、「サボり癖」が付いたら試験で合格点を取ることは絶対に不可能である。
・もしやむを得ぬ事情で欠席した場合には他の学生のノートを写真に写させてもらい、それをさらに自分のノートに筆写する程度のことはして当然である。「その時の授業に出ていなかったので知りません」などという言い訳はいかなる授業であろうと通用しない。
・この授業は全学部に向けて開講されたクラスであって、教員側で一定の時間帯を面談可能時間に設定することは一部の学生にとってはかえって便宜に反することにもなり得るので、設定しないことにする。したがって、個人での質問や学習についての相談は随時、担当教員と学生の双方の都合が合う時間に受け付ける。しかし、担当教員の他の授業や会議などの時間と重なって学生自身が無駄足にならないためにも、授業の直後に申し出るか、もしくは、事前にEメールで面会の予約を取ってから研究室に来てくれることが望ましい。

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