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基礎ロシア語Ⅰ

前期 火曜日 5講時 川北キャンパスA203 / 前期 金曜日 5講時 川北キャンパスA203. 単位数/Credit(s): 2. 担当教員(所属)/Instructor (Position): 柳田 賢二 所属:東北アジア研究センター. 対象学部/Object: 全. 開講期/Term: 1セメスター. 科目群/Categories: 全学教育科目言語科目-ロシア語. 履修年度: 2024. 科目ナンバリング/Course Numbering: ZLF-RUS101J. 使用言語/Language Used in Course: 日本語.

主要授業科目/Essential Subjects

各学部の履修内規または学生便覧を参照。

授業題目/Class Subject

授業題目/Class Subject
ロシア語入門Ⅰ
Elementary Course of Russian Grammar for Japanese-speaking Students I

授業の目的と概要/Object and Summary of Class

授業の目的と概要
 まず「文字と発音」を徹底的に学び、アクセント記号さえ振られていればロシア語の単語が読めるようにする。次に、文字結合のうちで説明なしには読み方が判断しにくいものや一定の規則にしたがった特殊な読み方をするものを学ぶ。これで、ごく少数の個別的な例外を除き、アクセント記号さえ振られていればロシア語の単語が完璧に発音できるようになる。
セメスターの後半には最も基本的な文法事項を学び始め、それ以降のロシア語の学習のための基礎的能力を養う。
【注意!】
・履修希望者は必ず第1回の授業に出席すること。履修希望者が教室定員よりも多い場合、第1回の授業に出た者の範囲内で人数を40名以内に制限することがある。
・工学部または医学部保健学科看護学専攻の学生であって、第2セメスターの「基礎ロシア語II」を履修するつもりのない者には、この「基礎ロシア語I」を履修することを認めない。週2コマ半年間の学習だけで得られるものはロシアのキリル文字の読み方と規則動詞のうち第1変化の現在形の作り方のみであり、それでは外国語としてのロシア語を学んだことにならないからである。
・この科目は完全な初心者向けのロシア語の授業であり、海外においてロシア語で教える学校(日本の高校以上に相当する学校)を卒業した者は国籍・民族を問わず履修できない。(注:次の露文はこの注意事項の訳である。)
【ВНИМАНИЕ!】Это занятия русского языка для настоящих начинающих. Не допускаются студенты, окончившие русскоязычную школу, независимо от гражданства и национальности.

 この科目におけるロシア文法の説明は、全て日本語で行う。以上の日本語文が理解できない者は履修を認めない。
This course provides all explanations of Russian grammar in Japanese. Students who are unable to comprehend this Japanese paragraph are ineligible to enroll in this course.

学修の到達目標/Goal of Study

・日本人にはなじみのないロシア文字による書記体系を完全に把握することを通じてロシア語の音韻体系を理解する。
・ロシア語のアクセントは「長さアクセント」であって日本語のアクセントとも英語のアクセントとも非常に違うことについて理解し、また、アクセントのない母音の「弱化」について習熟する。
・ロシア語のイントネーションは「yes-no」疑問文であっても必ずしも文末で音調が上がるとは限らず、疑問の中心となる語のアクセント音節内でのみ音調が急上昇し、その後は下降するので、ロシア語を知らない者には疑問文に聞こえないことすらある。このイントネーションに習熟する。
・ロシア語の初級文法のうち名詞の「文法上の性」の意義とその見分け方、形容詞長語尾の性数変化、「人称」の概念、規則動詞(第1変化)が「主語の数と人称による現在変化」による6個の現在形を持つことおよびその作り方といった最も基本的な部分を把握し、ロシア語の文法構造の最も基本的な部分の概要を理解する。

授業内容・方法と進度予定/Contents and Progress Schedule of the Class

※授業は全て対面で行う。予期せざる特段の事情が発生しない限り、オンライン授業は行わない。
※板書は必ず紙のノートに筆写すること。板書した事項は、全て試験範囲に含まれる。
※授業支援システムとして、Google Classroomを用いる。音声資料等の配布にしばしば用いるので、自宅でもすぐにアクセスできるようにしておくこと。ダウンロードするよう指示されたファイルは必ずすぐにダウンロードし、パソコン内に保存しておくこと。
※担当教員からのメールには必ずすぐに目を通すこと。学期中であるにもかかわらず「この間ずっとメールを開かなかった」などと言う学生が時折見られるが、大学において、そのような態度は許されない。また、返信するよう指示があった場合には必ず遅滞なく返信すること。

・「基礎ロシア語I」では、まず「文字と発音」を徹底的に学び、次いでロシア文法の基礎をゼロから丁寧に学ぶ。教科書(佐藤純一著、『ロシア語初級クラス 第2版』)の各課について、原則として発音練習、文法説明、読解、練習問題の順で学んでいく。和久利誓一著『入門ロシア語文法(改訂版)』は予習・復習の際および試験前などの文法知識整理のために絶対必要な文法書である。同書については説明する事項が載っている頁を授業中に指示するので、復習の際に参照すること。いずれも教科書であり、持っていることを前提として授業を行うので、履修者は必ず購入する必要がある。
・ロシア語では単語が(動詞の場合)「法」・「時制」・「人称」・「数」・「性」、(名詞の場合)「数」・「格」、(形容詞の場合)「性」・「数」・「格」のような
文法的カテゴリーの組み合わせを同時に表すために多くの形に変化する。文法説明においてはこれらの文法的カテゴリーに関して学生との対話を交えながら解説していく。それを理解しないと何のために単語の形が変化するのか自体が分からず学習の致命的障害となるので、板書をすべてノートに取ることはもちろん、少しでも不明な点についてはその場で質問するなど主体的に授業に参加することが望まれる。
 「基礎ロシア語I」の範囲で扱う主な新出事項は次の通りである。但し、常に学生の理解度を見ながら授業を進めるので、履修者の人数と構成によっては進度がこれより遅くなることも早くなることもあり得る。
第1回 イントロダクション
・ロシア語はロシアだけの言語ではない。ロシア語が話されているのはどんな国々か、そして、そこにおいてロシア語はどんな位置を占めているかについて
・他の初修外国語と対比した場合のロシア語の特徴…日本人学習者にとっての難点と利点
第2回~第3回 文字と発音(1)
・ロシア文字は「キリル文字」の1種である。
【注:以下、教科書『ロシア語初級クラス 第2版』のpp.8-9を用いて学ぶ。】
・ロシア語の母音字について
・ロシア語は日本語と同じく5母音体系の言語だが10個の母音字がある…「硬母音字」と「軟母音字」
・日本人は円唇母音[o]と[u]に特に要注意!
・母音字ыの音価について
第3回~第5回 文字と発音(2)
・子音分類の音声学的基準について…「有声/無声・調音点・調音法」
・ロシア語の唇音とそれを表す子音字п,б,ф,в,м
・日本語の「フ」、「ファ」、「フォ」等の子音は無声唇歯摩擦音[f]ではなく、無声両唇摩擦音である。これをロシア語に持ち込むとありもしない母音を挿入してしまい、ロシア人にとって理解不能になるという深刻な事態を招く。したがって、特に[f]の発音を入念に練習する。
・「子音字+軟母音字」の読み方(1)
第5回~第7回 文字と発音(3)
・子音の「口蓋化」についての説明
…音声学用語の「口蓋化」とロシア文法用語の「軟化」は同じ現象を指す。
・ロシア語では子音が「軟化」(=口蓋化)しているか否かが語の意味の区別にとって非常に重要な違いである。
・ロシア文法でいう「硬(子)音」と「軟(子)音」とは「非口蓋化子音」と「口蓋化子音」のことである。
・「子音字+軟母音字」の読み方(2) …実は「軟子音+母音」として読まれる。
・子音字が軟子音として読まれるのはどんな場合か?…軟音記号ьについて(1)
第7回~第8回 文字と発音(4)
・歯音を表す子音字т,д,с,з
・歯音については日本語の「イ段」や「拗音」の方が口蓋化の程度が甚だしく、これをロシア語に持ち込むと別の語に聞こえること。
・調音器官の構造と名称
・日本人が特に注意すべき有声歯摩擦音[z]について…日本語の「ザ行」の子音は必ずしも[z]ではない!…зを「ザ行」のつもりで読むとロシア人にとって甚だ迷惑な発音となる。
・軟子音[z'](摩擦音)と[d'](破裂音) …日本人には同じに聞こえるが、実は全く違う。これは日本人にとって最後まで注意を要する子音である。
第8回~第9回 文字と発音(5)
・日本語にはない「そり舌摩擦音」を表す子音字ш,жについて
・そり舌摩擦音の発音のしかた
・そり舌音は口蓋化させられないこと及びそれゆえш,жは常に硬音であること
・ш,жが常に硬音であるため、発音上шё=шо,жё=жоであること
・日本語「ツァ」、「ツ」の子音とほぼ同じ無声歯破擦音を表す子音字ц
・цは常に硬音であること及びそれゆえ発音上ци=цыであること
第9回~第10回 文字と発音(6)
・無声前部硬口蓋破擦音を表す子音字ч
・無声前部硬口蓋摩擦音を表す子音字щ
・ч,щが常に軟音であること及びそれゆえ発音上чё=чо,щё=щоであること
第10回~第11回 文字と発音(7)
・舌尖のふるえ音[r]を表す子音字рおよび[r]の発音練習のしかたについて
・「側面接近音」を表す子音字лが硬音として読まれる場合…英語tellの語末に現れるのとのと同じ「暗いl」となること
・子音字лが軟音として読まれる場合…英国英語のlight,leaf等に現れる[明るいl]がさらに口蓋化した音になること
第11回~第12回 文字と発音(8)
・「歯鼻音」の[n](子音字н)と「両唇鼻音」の[m](子音字м)について
…母音の前ならば誰でも容易に区別できるが、子音の前にある場合日本人には同じに聞こえるので同じに発音してしまう。その理由について。
・日本語「ン」の発音…日本語の規則により日本人は後続の音によって非常に違う様々な音を発音し分けているのに、日本人自身がそのことに気付いていない。これをロシア語に持ち込んではならない。
・ロシア語の子音字нは、ある1つの特殊な場合を除き必ず「歯鼻音」の[n]/[n']で発音される。絶対に日本語の「ン」のつもりで読んではならない。
・母音の前以外にあるн[n]の発音練習
・子音字кについて
…硬音の場合は無声軟口蓋破裂音[k]であり,軟音の場合の[k']は厳密には無声後部硬口蓋破裂音であるが、いずれも日本語の「カ行」、「キャ行」の子音と同じなので容易である。
第12回~第13回 文字と発音(9)
・子音字гについて
…硬音は有声軟口蓋破裂音[g]、軟音は有声後部硬口蓋破裂音[g']であるが、語頭では容易。
・日本語の「ガ行」の発音について…語中(特に母音間)では人により発音が違い、少なくとも3種類の発音がなされている。しかし日本人自身はそれに気付いていない。特に「ガ行鼻濁音」に注意。これはロシア人にはн[n]に聞こえて理解不能となるので、絶対にロシア語に持ち込んではならない。
・ロシア語の子音字гは、どこにあろうと同じく[g] /[g']で発音される。
・母音間のгを常に[g]/[g']で発音するための発音練習
・子音字хについて
…硬音[x]は日本語にも英語にもない「無声軟口蓋摩擦音」なので丁寧な練習が必要である。日本語の「ハ行」のつもりで発音してはならない。日本語「ハ行」は前後にどんな音が来るかによりいくつかの非常に違う音で発音されるが、日本人はそれに気付いていないからである。しかし軟音[x']は「ヒ」、「ヒャ、ヒュ、ヒョ」に現れる子音と全く同じなので容易である。
第13回~第14回 文字と発音(10)
・半母音[j]を表す子音字йについて
…母音字の後にある場合は英語のsay, play等の語末に現れるのと同じ半母音であり、[j]と表記される。また、[j]は軟子音である。硬母音字の前でも同じく[j]として読まれるが、この綴りは外国語の転写以外には用いない。
・「正書法の規則」(教科書p.34)
…これをこの時点で学んでおくとшю,чя,кыなどの綴りが「文字と発音」の項目にない理由が分かり、また、第3課以降で動詞や名詞の変化形を作る際に誤った形を作ってしまうこと避けることができるので効率的である。
第14回~第15回 文字と発音(11)
 ここでは2つの「記号字」を学ぶ。これらは音価を持たず、単に先行の子音字の読み方を指示するだけなので、厳密な意味での「文字」ではなく、「記号」である。
・軟音記号ьについて(2)
…直前にある子音字を軟音として発音することを示す。語末だけでなく語中にあり、軟母音字が後続する場合でもこれは同じであって書いてある通りに読まれるが、その読み方に慣れておく必要がある。
・軟音記号ьについて(3)
…子音字のうち、「常に硬音」であるш,жおよび「常に軟音」であるч,щの後に軟音記号ьが書かれても子音の硬軟には影響しない。軟音記号ьが語末ではなく語中にある場合であってもこれは同じであるが、その結果として発音上、後続の軟子音字が先行の子音字ш,ж,ч,щと分離される。このことも論理的に理解し、かつ慣れておく必要がある。
・分離記号ъについて
…現代ロシア語においてはこれは語中にのみ現れ、先行の子音字を後続の軟母音字と分離して発音することを示す働きしか持たない。
・各文字の名称および辞書等での配列順
【注:教科書pp.6-7を用いるが、非学問的なことなので一回録音を聞いて発音するだけで済ます。文字の配列順には合理性がないので、それを覚えることは履修者各自が努力するしかない。】
【注:以下、第1課に入るまでは教科書pp.10-11を用いて説明する。】
第15回~第16回 語の読み方の規則(1)
・ロシア語のアクセントは「長さアクセント」である。
・ロシア語では辞書や教科書を除きアクセント記号を書かない。
・1音節語は、前置詞および接続詞а,иのほかごく例外的な語を除いて必ずアクセントを持つ。しかし約束事としてそのアクセント記号は辞書や教科書でも書かない。
・軟母音字Ё/ёが書かれている場合、必ずそこにアクセントがある。しかしЁ/ёの上の「点2つ」はアクセント記号の一種とみなされ、ロシア人向けの出版物やWEB等では書かれないので、Ё/ёとЕ/еは外見上同じになり、一語一語覚えるほかない。
・アクセントのない母音字の発音について
・硬母音字《о》が [o]と読まれ、発音上硬母音字《а》と区別されるのはアクセントのある場合のみ。アクセントのない場合の《о》は日本人には全て「ア」と聞こえる。
・アクセントのない場合の母音字《о》と母音字《а》の発音について…完全な語頭およびアクセント直前音節の場合とそれ以外の無アクセント音節とで異なる。
・アクセントのない場合の軟母音字《я》と《е》の発音
…語尾以外と語尾とで扱いが異なる。その両方を学ぶ。
第16回~第17回 語の読み方の規則(2)
・子音字の発音の「同化」について
・母音および子音のうち「鳴子音」(半母音、鼻音、側面接近音(=側面流出音)、ふるえ音)は子音字の発音の「同化」に無関係であり、「噪子音」のみが関係すること。
・無声化…有声噪子音は語末および無声噪子音の直前で無声化する。
・有声化…無声噪子音は《в》を除く有声噪子音の直前で有声化する。
・「特殊な発音」(p.11)について
・一定の規則があるもの
…сч, зч; сш-, сж-; -зж-;-стн-,-здн-
・個別的な頻用語に見られるもの
・文法上の規則に関係するもの
第17回~第18回 語の読み方の規則(3)と第1課の本文の発音
・教科書p11下の「練習1」~「練習3」
・これ以降、順不同で履修者を指名し、読んでもらう。発音に誤りがあればその都度指摘して正すが、「読めません」という答だけは認めない。この答はそれまでに学んだことが一切身についていないことを示すので、その場で学期末の最終成績から前もって減点する。減点が複数回にわたった場合、1回に減点される点数をその都度増やす。第2課以降でも同じである。
・第1課本文の発音練習
第18回~第23回 第1課の文法
第1課で学ぶ文法事項は次の通り
・教科書には「基本3文型」という語があるが、これは説明用の便宜的なものである。ロシア語には英語の「5文型」のようなものはなく、「S+V+O」だけでなく「O+V+S」も「V+O+S」も「V+S+O」も正しい露文として認められる。したがって、誤解を避けるため、本講では「文型」という語は用いない。
・英語の「本動詞としてのbe」の意味の再確認:「いる/ある;“=”(イコール)」。
・英語beに相当する動詞はбытьだが、その現在形(英語am, are, isに相当)はестьである。
・現在形естьはそれが強調される場合と有無が問題となっている場合以外は省略される。
・ロシア語には冠詞が一切ない。
【注:以下、「動詞の現在変化」について第5課の文法(p.30)の2の1)にある第1変化の規則動詞の変化を使って学ぶ。】
・ロシア語動詞の「不定形」(辞書の見出し形)と「現在形」は形が違う。これは西欧諸語でも、また、実は英語でも同じである。
・быть以外のロシア語動詞は主語の「数と人称」の組み合わせによって選択される6個の「現在形」を持つ。
・「人称」の概念について(特に重要!)
…正確には「第1/2/3人称」である。その各々の意味について。
・各「数と人称」の組み合わせに対応する人称代名詞(重要!)
【注:第2課文法の5(p.18)を用いる。】
・第2人称複数の人称代名詞выを1人の話し相手を指すために用いると丁寧語になる。
・第1変化規則動詞читать「読む」の現在変化(特に重要!)
・выが1人を指していてもвыが主語ならば動詞は第2人称複数形を用いる。
・ロシア語には進行形はない。それゆえ、「する」の意味も「~している」の意味も現在形で表せる。
・читать以外の第1変化規則動詞の不定形を示してそこから現在形6個を作る練習をする。
【注:第1変化規則動詞の現在変化を学び終えたら第1課の文法(p.14)に戻る。】
・”yes-no疑問文”はイントネーションだけで平叙文と区別される。
・ロシア語のイントネーション(特に重要!)
…強調のない平叙文、強調のある平叙文、”yes-no疑問文”のイントネーション
・YesはДаでNoはНет。
・否定文の作り方
…単に否定すべき語の直前にнеという語を置き、一続きに発音するだけで否定文になる。неは動詞だけでなく名詞も副詞も形容詞も否定できる。
第23回~第24回 第1課の本文と会話文の訳読および練習問題の解答
・студентは「大学生」だが、はっきり「女子」学生だと分かっている場合にはстудентではなくстуденткаと言わねばならない。
第24回~第25回
・第2課本文の発音練習
第2課で学ぶ文法事項は次の通り。
・対比の接続詞 《,а》「一方」(→「では、」、「で、」)
・или(=or)を含む疑問文(「選択疑問文」)のイントネーション
・疑問詞を含む疑問文と主な疑問詞
…特にгде「どこに/どこで」とкуда「どこへ」の使い分けに注意!
・「父称」(父の名から自動的に作られるミドルネーム)について
・ロシア人については「given name+父称」が敬称であり、Mr.とMrs./Missに対応する語господинとгоспожаは外国人に対してしか使えないことについて。
第25回~第27回 第2課本文と会話文の訳読および練習問題の解答
・《не X, а Y》「XではなくてY」の表現
…動詞だけでなく名詞にも副詞にも形容詞にも使える。
・“S=C”の文において、SとCがともに名詞である場合には“=”を表すестьが省略された箇所に長い横線(―)を書く。
第27回~第31回
【注:第3課では形容詞の性数変化が現れ、語尾だけが異なる語が数多く出てくるので本文の発音練習を先にすると非常に誤りが出やすく、時間のロスになる。そこで発音練習よりも文法の学習を先に行う。】
 第3課で学ぶ文法事項は次の通り。
・名詞の「文法上の性」について(特に重要!)
…これは人の「男/女」や動物の「オス/メス」とは全く別の概念である。名詞自体が3つの「類」のいずれかに属し、それらの「類」を日本語の文法用語で「男性」、「女性」、「中性」と訳しているに過ぎない。ある名詞がいずれの「性」に属すかは、それが指すものの性質とは無関係である。それゆえ「辞書」や「本」のような無生物を指す名詞にも「文法上の性」があり、前者は「男性」、後者は「女性」である。
・名詞の「文法上の性」の見分け方…大部分の名詞は語末の文字によって判別可能。
・-а/-яに終わる名詞は通常「女性」だが、「男の人間」を指す語は「男性」である。但し、こうした男性名詞が語形変化する場合には完全に女性名詞と同じ変化型による。しかし、それでもなお「男性名詞」である。
・ロシア語の形容詞類(形容詞と形容詞的代名詞)は関係する語(形容詞が修飾語なら被修飾語名詞、形容詞が“S=C”の文のCならばS)と性・数(および格)において一致した形になる。
・主な形容詞的代名詞の性数変化
・形容詞の性数変化
・硬変化と軟変化
・正書法の規則(復習)と「綴りとアクセントの規則」(特に重要!)
・形容詞の混合変化(語幹がг,к,х;ж,ч,ш,щに終わるもの)
…これは一見非常に複雑に見えるが、実は硬変化であるものに「正書法の規則」と「綴りとアクセントの規則」による修正がかかり、一部の語尾の綴りが軟変化と同じになったものに過ぎないと考えれば容易に覚えられる。
・第3課本文の発音練習と訳読
第32回
・名詞類の「格」に関して簡単な説明をし、宿題を出す。
・期末試験

成績評価方法/Evaluation Method

・ロシア語の場合、綴りと発音の関係が英語のように不規則ではなく、文字とその発音および少数の規則さえ覚えれば発音記号が併記されていなくても単語を正しく発音することができる。それゆえ、第1セメスターの「基礎ロシア語I」の単位認定においては、これらを完全に把握していることを絶対的必要条件とする。したがって、第1セメスターの終わり近くになっても文字が読めない者には「基礎ロシア語I」の期末試験を受けることを認めず、単位を認定しない。
・成績評価は筆記試験によるが、合格・不合格の判定に際しては平常点も考慮に入れる。
・「文字と発音」を学ぶ段階での学習の中心は日本語と比べてはるかに数の多いロシア語の子音について音声学的定義を学びつつそれらを実際に発音し分けられるよう訓練することにある。したがって、「文字と発音」を学び終えるまで予習は不要だが、授業への出席は皆出席を当然のこととする。「読めない文字」が発生することを避けるため、この期間中は急病や忌引など真にやむを得ない場合を除き欠席してはならない。また、復習が絶対必要である。
・この科目に限らず、ロシア語科目では試験の成績が悪かった者に対する「再試験」をはじめ「救済措置」などというものは行わない。それゆえ、「試験の出来が悪かったら再試験をお願いしよう」などとは絶対に考えてはならない。試験で不合格になった場合には次の受験機会(通常は翌年)に再受験をするのが各種国家試験をはじめとする「試験」についての社会一般の常識であることを認識して試験を受けること。

成績評価方法
 成績評価は筆記試験によるが、合格・不合格の判定に際しては、平常点も考慮に入れる。

○筆記試験について
筆記試験の点数は、中間試験を行った授業においては、「中間試験と期末試験の平均点」と、「期末試験の点数」のうち高い方の点数とする。中間試験を行わなかった授業においては、「期末試験の点数」をそのまま当該授業の筆記試験の点数とする。満点は100点である。

○平常点について
1)平常点はプラス10点からマイナス30点までの範囲で付ける。
2)出席率を点数化してプラスの平常点とし、筆記試験の成績が不振であった場合の救済に用いることはしない。本学で教える初修外国語科目としてのロシア語の内容は授業に出席せずに理解できるようなものではなく、授業は皆出席が当然である。
3)以上のことから、平常をプラス点として筆記試験の点数に加算するのは最大でも10点である。また、これを行うのは、筆記試験の点数が60点未満であった場合に限る。
4)平常点の基準
ほぼ全回の授業に出席し、課された宿題を全て提出した者は平常点としてプラス10点を与える。(但し、感染症や忌引などのやむを得ない理由による場合は、その旨申し出れば、欠席しても不利益扱いしない。)宿題を提出しなかった者は、たとえ皆出席でも平常点をプラスマイナス0点とする。
 宿題を提出するしないにかかわらず、次に例示するような行為をした者の平常点は、マイナス1点からマイナス30点の間で付ける。このような行為をする者がいると授業の進度が遅くなり、担当教員はもとより当該授業の履修学生全員に迷惑を及ぼすことを認識し、絶対に行わないこと。
例:
・授業中に指名されても返事をしない。
・出席を取る時には出席しているが、指名された時にはいなくなっている。
・「文字と発音」の学習は終えているにもかかわらず、ロシア文字が読めない。
・次回授業で学ぶことが確実なページに書かれているロシア語の単語を辞書で調べてくるという最低限の予習を行わず、注意されてもその態度を改めない。
・「次回は練習問題をするので必ず予習してくること」と明言されたにもかかわらず、全く予習せずに授業に出席する。
・授業中にスマホなどで無関係のことをしており、指名されても、何を尋ねられているのかすら分からない。

注意)“AA”評価について
 90点以上ならば“AA”評価が当然だと考えている学生が時折見られるが、これは誤りである。そもそも“AA”評価は「成績が特に優秀である者」に対してのみ与えてよい評価である。また、初修外国語科目においては、語種を問わず、GPAが「2.5±0.3」の範囲に収まるように評価を付けることとされている。“AA”評価を得ることができるのは、むしろ例外的な場合であるということを認識すること。

教科書および参考書/Textbook and References

  • ロシア語初級クラス(第2版), 佐藤純一, 白水社 ISBN/ISSN: 4560016232
  • 入門ロシア語文法(改訂版), 和久利誓一, 白水社 ISBN/ISSN: 4560016054

関連URL/URL

東北大学言語・文化教育センター ロシア語セクション
http://www.ccle.ihe.tohoku.ac.jp/section/russian/

授業時間外学修/Preparation and Review

・この「基礎ロシア語I」ではまず「文字と発音」を徹底的に詳しく学ぶが、それだけで2ヶ月を要する。その間はまだ予習が不可能だが、その代わり毎回必ず復習をし、「ロシア文字を学んでいながら、先に学んだ文字はもう忘れている」や「ロシア文法を学んでいながら、もうロシア文字の読みを忘れ始めている」などということが絶対に起こらないようにすること。
・第1課以降では知らない単語を辞書で調べるという最低限の予習は必ずしてあることを前提に授業を行うので、「文字と発音」を終えたら予習を絶対に怠らないこと。ロシア文字見出しの辞書を引くのは慣れるまでに時間がかかるが、自ら辞書を引くことを頻繁に行わなければ慣れることもできない。
・音声教材を配布するので、毎回予習の際に本文と会話文をなるべく多くの回数聞き、また、音声教材と同じ早さで発音できるよう練習すること。ロシア語の発音を論理的に学んだ後でこれをすることによって発音が矯正されるとともに、それまで同じにしか聞こえなかった子音が実際に異なることが理解できる。
・期末試験を行う回に名詞類および形容詞類の語形変化パターンを覚えるためのプリントを配布する。このうち規則的な変化をする名詞の単数6格全部と複数主格の作り方を後期の「基礎ロシア語II」の中間試験の試験範囲とするが、名詞単数は変化パターンが多く、覚えるのに非常に時間がかかる。したがって、夏休みのうちから「名詞の単数6格全部と複数主格」の作り方を覚えるよう努力する必要がある。これは12月中旬頃に行う「基礎ロシア語II」中間試験までの宿題とする。
・夏休み中にロシア文字を忘れてしまうことを防ぐために、教科書にある本文と会話文の一部を音声教材通りに発音できるまで練習し、それを録音して.mp3ファイルに変換し、提出するという宿題を出す。(録音する範囲は夏休み直前に指定する。)この宿題を提出したか否かは「基礎ロシア語II」の成績評価に反映されるが、スマホやICレコーダ等で録音したファイルのファイル形式が色々とあるため、それをmp3ファイルに変換する方法も様々であり、教員側から指定することはできない。これについて、各自その方法をWEB等で調べておくこと。自分の声を録音して汎用ファイルの形で記録することもできないということはアナログ時代以前への退化にほかならないことを認識し、これについては各自努力すること。
・文系・理系を問わず、本講の履修者にはロシア文学の名作の日本語訳を読むことを強く勧める。例えばトルストイの『復活』、ドストエフスキーの『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』などの長編は、理由もなく「難解で退屈そうだ」と思われているが、決して退屈するような小説ではなく、極めて現代的なテーマを扱っているので特に薦められる。

授業へのパソコン持ち込み【必要/不要】/Students must bring their own computers to class[Yes / No]

・対面式授業では、パソコンの持ち込みは不要である。本講では板書を多く用いるが、板書は全て紙のノートに筆写すること。パソコンのアプリで筆写することは不可能なので、授業中にパソコンを開くことを禁じる。また、スマホを扱うことも厳禁する。

その他/In Addition

・「基礎ロシア語Iでは、東北大学言語・文化教育センター ロシア語セクション
http://www.ccle.ihe.tohoku.ac.jp/section/russian/
のうち「2. ロシア語を学ぶことを決める前に必ず知ってほしいこと-文法の複雑難解さについて」に記した事項をよく読んであることを前提に、「難しくても履修したい」と考える者のみに受講を許可する。「基礎ロシア語I」の後半以降では高校までに全く学んだことのない複雑難解な文法事項が次々に現れる。ロシア語の学習とは、即ち、それらを理解し、使いこなせるようになることにほかならない。このことを覚悟した上で履修を決意されたい。
・先述の通り、「文字と発音」を学び終えるまで予習は不要だが、授業への出席は皆出席を当然のこととする。さもないと、読めない文字が発生してしまうからである。急病や忌引など真にやむを得ない場合を除き欠席してはならない。
・もし真にやむを得ぬ事情で欠席した場合であっても他の学生のノートを写真に写させてもらい、それをさらに自分のノートに筆写する程度のことはして当然である。「その時の授業に出ていなかったのでこの字は読めません」などという言い訳は認めない。
・課外活動は、試験を受けられない理由としては認めない。
・正当な理由なくして試験を受けなかった者には単位を認定しない。忌引、急病など真にやむを得ない事情があって試験を欠席した場合であっても、必ず試験日当日中に担当教員にメールで連絡してその旨申し出ること。
・この授業は全学部に向けて開講されたクラスであって、教員側で一定の時間帯を面談可能時間に設定することは一部の学生にとってはかえって便宜に反することにもなり得るので、設定しないことにする。したがって、個人での質問や学習についての相談は随時、担当教員と学生の双方の都合が合う時間に受け付ける。しかし、担当教員の他の授業や会議などの時間と重なって学生自身が無駄足にならないためにも、授業の直後に申し出るか、もしくは、事前にEメールで面会の予約を取ってから研究室に来てくれることが望ましい。

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